*2021年10月変更箇所あり。
さて、みなさんに質問して、答えてもらった「の」と「こと」についてですね。これに関しては、教科書や文法の本などで、みなさんはすでに色々な説明を読んだことがあると思います。そして、実はその色々な説明は私が納得できるものと、そうではないものがあります。このブログでは私が考える「の」と「こと」の使い方を書くので、みなさんが理解していることと違う点があるかもしれません。
でも、「の」と「こと」にはあいまいな点があり、日本人の使い方を見ても、どっちでもいいんじゃない?という場合があるのをご了承くださいね。
まず、「こと」の役割を説明します。文の中に「動詞を含む部分」+「こと」がありますね。「動詞を含む部分」=ある行動や状態。そして、「こと」がそれを「概念」に変えます。「概念」とは、出来事や事件、事実、事情、経験などの言葉に置き換えられるかもしれません。
文法的に説明すると、動詞+「こと」で、動詞を名詞に変えることができます。
それから、「の」は「こと」と同じ役割を持っています。 ある行動や状態に「の」をつけて、それを概念化します。そして、「の」が表す概念は「事」だけではなく、「人」「物」「所」「時」「理由」など色々あります。
実際に例文を見た方がわかりやすいので、例文に移りましょう。(二つ前の投稿に出した例文を使います)
- (A-1) 毎日ジョギングを続けること/のは難しい。
- (A-3) 私は知らない町に行くこと/のが好きです。
- (B-3) 歌を歌うこと/のと、おどること/の、どっちが好き?
- (B-5) 外国語を勉強すること/のは時間がかかる。
これらに「こと」または「の」をつけると、毎日ジョギングを続けるという行為(=事)という意味になります。
B-4も似ているパターンです。でも、「の」を使うことができません。
- (B-4) 私の趣味は絵を描くことです。(OK)
- 私の趣味は絵を描くのです。(×)
次に「動詞を含む部分」+「こと」が「事実」の場合、「こと」と「の」、両方使えます。
- (A-5) 山田さんがアメリカにひっこすこと/のを知っている?
- 彼女は妊娠していること/のがわかった。
- 携帯が壊れていること/のに気がついた。
- 私は前に彼に大阪で会ったこと/のを忘れていた。(or 思い出した)
- (B-2) この店の名前を聞いたことがある? (OK)
- この店の名前を聞いたのがある? (×)
- 友だちは私がひっこすのを手伝ってくれた。
- 私は駅で彼が来るのを待っている。
- かぎを閉めるのを忘れちゃった。
- ダイエットをする!甘いものを食べるのをやめる。
- (A-2) 赤いくつと黒いくつ、どっちが似合う? → 赤いのが似合うよ。
- わあ、このお酒は強いな。もっと軽いのがありますか?
- 友だちが映画を見たいと言ったので、昨日ダウンロードしたのを一緒に見た。 (*「の」は映画ですね)
- 私が生まれたのは東京です。 (*「東京」という場所の名前があるので、「の」が示す単語は「場所/所」になります)
- 私が生まれた所は東京です。 (上の文と同じ意味です)
- 私がロンドンに住んでいたのは1998年です。 (*「1998年」という年があるので、「の」が示す単語は「時」になります)
- 私がロンドンに住んでいた時期は1998年です。 (上の文と同じ意味です)
- (A-4) このステーキがおいしいのは神戸牛を使っているからです。 (*「~からです」があるので、「の」が示す単語は「理由」です)
- このステーキがおいしい理由は神戸牛を使っているからです。 (上の文と同じ意味です)
つまり、「動詞を含む部分」+「の」だけを見ても、「の」の意味は推測できません。大切なポイントは後ろの部分、どんなキーワードがあるか、チェックしなければなりません。また、「の」が表している「場所、時、理由」は「こと」ではないので、ここで「こと」を使うことはできません。
もう一つのパターンは「見える、聞こえる、見る、聞く、感じる」などの知覚動詞 (perception verbs) を使う場合です。次の文を見てみましょう。
- 私の家は学校のとなりにあるから、いつも子どもたちが遊んでいるのが見える。
- 私は彼女がピアノを弾いているのを聞いていた。
- この部屋にだれかがいるのを感じる。
以上、長くなってしまいましたが、みなさんの理解と同じでしたか?では、お疲れさまでした!